出産間隔
繁殖シーズンも後半になると、比較的静かな島陰などでゆっくり過ごす親子クジラが頻繁に見られます。親子クジラは、数千キロにもおよぶ餌場への旅立ちを目前にひかえ、子クジラが長旅に耐えうる大きさになるまで暖かい海で少し待っているため、他のクジラに比べ、シーズンおそくまで繁殖場で見られるのです。1987年から2002年の16シーズンで、105頭の母クジラと28頭の子クジラの尾ビレを識別しています。これらの母クジラが産んだ子クジラの数は、月日を経て173頭にのぼります。子クジラの有無を手がかりに、雌クジラが出産した年から年への記録を利用して、出産間隔を明らかにすることができます。ハワイや北大西洋のグループでは、通常2~3年に1回出産すると言われており、小笠原でも平均2.1年に1回という数字が出ています。しかし、中には2~3年連続で出産する例もありました。このような連続出産は、雌クジラの妊娠周期にも年齢差があり、性成熟してある程度の年数のたったクジラ、いわゆるベテランの母クジラの方が、子クジラに授乳しているにもかかわらず排卵し、次の年にも出産する可能性が高いであろうと言われています。またこれには、母クジラの体調や餌場での餌の摂取量などが関わり、出産してもすぐ妊娠できるエネルギーを蓄えることができるという環境の好条件に左右されているようです。

最多出産
雌クジラの中で、最も多く識別され、出産が確認されたクジラはO-40で、1987年から2002年の16シーズン中10シーズン来遊を確認しており、6頭の子クジラを産んでいる事がわかっています。

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子クジラの成長
それぞれの親子の子クジラを見比べると、その大きさは、まさしく最近産まれたと思われるような灰褐色でシワのある小さなものから、黒々とした体色の大き目のものまで様々です。この大きさの差は、行動の違いにもあらわれます。小さいものは、背ビレから尾ビレの間を高々とあげるものの、そのまま沈んだり、横倒しになったり、なかなか上手に尾ビレをあげることができず、練習中という印象を受けます。また、母クジラの上でゴロゴロする様子もうかがえます。やや大き目の子クジラは、フルークを持ち上げるものの、スルッとすべるように水中に入ってしまいます。こんな子クジラの尾ビレを撮影するのは難しく、背ビレの撮影のみになることがほとんどです。しかし、もし生まれた年に瞬間的に波間にあらわれる尾ビレの撮影に成功すれば、その成長を追うことで通常外見からは判断できないザトウクジラの年齢を知ることができます。小笠原海洋センターでは、1987年から2002年の16シーズンで、28頭の子クジラの尾ビレを識別しています。中でももっとも経歴を追えているのは、O-288です。1992年生まれのモッチーニは、現在11歳です。
2000年

母クジラ、娘クジラ、孫クジラ
例えば雌クジラO-46は、今までに8シーズンにわたって見られ、4頭の子クジラを産んでいます。それら子クジラのうちO-288は、1992年(モッチーに速報)に小笠原周辺で産まれ、2000年、2003年と出産しています。O-288は、O-46の孫を産み、親子三代とも人間に遭遇する率がとても多く、この小笠原に来遊していることがわかっています。

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