ヘッドスターティングで飼育された子ガメは人間の管理下で飼育しているため、天然のものに比べてより大きく育てることができます。
約1,000g以上に飼育されたカメに標識を付けて放流することは、いまだ謎の多い子ガメの生活史を知ること、
また、そのカメたちが天然資源にどのような影響を及ぼすかを知る手がかりになります。
小笠原でのアオウミガメのヘッドスターティングの歴史は古く、
1910年(明治43年)に世界に先駆け3ヶ月間のヘッドスターティングを1939年までの30年間行なっています。
しかし、当時は生息数を回復するには至りませんでした。
小笠原が日本に返還された後、1973年(昭和48年)から東京都小笠原水産センターによりこの事業は再開され、
それから更に小笠原海洋センターに引き継がれ、現在では年間200~300頭の子ガメの飼育・放流を行なっています。
(飼育された子ガメたちは村のイベントや様々な環境教育プログラムとして放流しています)

 

⇒どんなことが分かったの?

放流した子ガメが、生息海域で再捕(海域に限らず、混獲、保護、目視などによって再び確認されること)されています。
その再捕率はおよそ3%であり、自然のふ化稚ガメの生存率0.2~0.3%に比べて高い(約10倍)ことがわかります。