子ガメ、旅立ちの季節。
Shimizu2023-03-22T16:28:29+09:00みなさんこんにちは! 小笠原海洋センタースタッフのしみずです! 小笠原はすっかり春を通り越して夏のような陽気で、日中は半袖で過ごせるようになってきました。春休みに入った大学生と思われる世代の方も多く観光で訪れていて、おがさわら丸の入港中は賑やかな雰囲気が漂っています。 海洋センターで飼育している子ガメたちは、生まれた夏から半年ほどが経ち、放流の季節を迎えています。私にとっては昨年までとは違い、水槽に来たその日から、いや、お母さんガメが卵の状態で産み落としたその瞬間から見守ってきた子ガメたちです。飼育担当として初めて、ゼロから飼育してきた子ガメたちは我が子も同然です。 だからこそ自信を持って送り出すことも出来るのですが、同じくらい寂しさも感じています。 新しいエサを試したとき、すぐに食べてくれたこと。 おもちゃを入れてもすぐ飽きられてしまったこと。 水槽の中のパイプを作ったのに上手くハマらなかったこと。 水槽に入る海水のゴミ取りネットの素材を変えたら上手くいったこと。 毎日のように様々な試行錯誤があり、その答えを示し続けてくれた子ガメたちは私にとっては戦友のようでもあります。 子ガメたちは未熟な私の飼育にも根気よく付き合ってくれ、ここまで大きく成長してくれました。毎日水槽を覗くたびに、「なんか用?エサ持ってる?」とばかりにのんびりと近付いてきてくれる姿とも、もうすぐお別れです。 この春から夏の時期は、たくさんのお客さまとともに放流を実施しています。(現在個人のお客さまからの放流の受付は停止していますのでご了承ください。) 放流するときには砂浜を少し歩いて海へ向かいます。この足取りがのんびりだったり、とても速かったり、途中でしばらく立ち止まったり。そんな個性的な子ガメたちの旅は、たった1頭で海に入り、そこから長く長く続きます。 小笠原の海に、大人のウミガメたちが繁殖のために帰ってきている姿を見かける季節になりました。写真は昨年のものですが、夏の産卵時期に海岸で撮影したものです。海洋センターの開館から40年が経ち、もしかするとこの大人たちの中にも海洋センター生まれがいるかもしれません。 いま私の前にいる子ガメたちが30年、40年後に大人の姿で戻ってきてくれるかもしれません。そのために毎日大きく飼育してきた子ガメたちですから、厳しい自然の海を生き抜いて、きっと小笠原に来てくれることでしょう。どこまでも夢は広がります。 いつかまた再会できることを願って、今日も子ガメたちの飼育業務を頑張ります!