新人スタッフ奮闘記(その④)

2022-02-28T20:38:32+09:00

みなさまこんにちは! 小笠原海洋センター新人スタッフのしみずです。   最近来島したボランティアスタッフの皆様からも「ブログ書いてますよね?」と言われることが増えてきて、なんだかブログを書くのが恥ずかしくなってきた今日この頃です。ボランティアスタッフの皆様、どうかお手柔らかにお願いします。   最近のニュースといえば・・・ 初回の更新の時からお話していた「ザトウクジラの調査」についに行くことが出来ました!! 船に乗って海に出て、ザトウクジラの個体識別に使用する尾びれ裏側の写真を撮る調査です。 (詳しくはこちらのページをご覧ください→http://bonin-ocean.net/humpback-whale/research ) ザトウクジラは深く潜るときに尾びれを高く上げる「フルークアップ」という動作をするので、その瞬間を狙い尾びれの裏側の写真を撮ります。 陸地にいても寒さは感じますが、海の上は風が強く、波しぶきもかかるのでとても寒いです。しかし、間近で観察することのできるザトウクジラの迫力や、彼らが見せてくれる行動に夢中になっているうちに寒さも忘れて時間が過ぎていきます。 繁殖や子育てのために小笠原近海へ来遊するザトウクジラたち。 彼らは、水面に体を持ち上げてジャンプする「ブリーチ」や、胸びれを水面に叩きつける「ペックスラップ」など様々な行動を見せてくれるのですが・・・ とにかく予測不可能。 さっきまで北に向かって泳いでいたのに、次の息継ぎでは南向きになっていたり、 フルークアップすると見せかけて尾びれを上げなかったり、 フルークアップの瞬間に体をひねり裏側を見せてくれなかったり、 一度潜った後、全く違う場所から現れたり、そのまま見失ってしまったり・・・ 彼らはひょっとして、我々を嘲笑っているのではないかと思ってしまうほどです。   今の私は、カメラ係のリベンジに燃えています。 カメラ係とは、その名の通りカメラを持って尾びれを撮影する係です。 「写真撮るだけでしょ?」と思うかもしれませんが、揺れる船の上から動いているクジラの尾びれを正確に写真に撮るのは至難の業。ピントが合わなかったり、波や他のクジラが被ってしまったりと、何枚撮ってもなかなか納得のいく写真が撮れませんでした・・・ 次こそは個体識別に使えるくらいいい写真を撮りたいです!!がんばります!!     クジラ調査の際に見かけたこちら。 昨年から話題になっている軽石です。 小笠原の福徳岡ノ場で噴火してから一年以上をかけて海を漂い小笠原に戻ってきた軽石は、かなり角が取れて丸くなり、細かくなっていました。 軽石はかなり漂着しており、海洋センター目の前の製氷海岸でも拾うことができました!写真の軽石にはウミガメたちの大好物である「エボシガイ」が付着しています。 軽石はその名の通り軽く簡単に小さく砕けるので、ウミガメがエボシガイと一緒に飲み込んでしまっても排泄されることがほとんどだと考えられています。 新しく海に現れた軽石たちもこのように自然のサイクルに取り込まれていくんだなあと実感しました。     おまけ・・・ クジラ調査の日、スタッフたちの密かな楽しみは「ランチタイム」。 その時々で場所は変わりますが、波の穏やかな場所でクジラを探しつつ、景色も楽しみつつみんなで食べるお弁当は格別です。 (この日は父島の南側にある千尋岩、通称ハートロックを眺めながらのランチ。赤い岩、ハートの形に見えますか?)   さていよいよ3月! 海洋センターにとっては学生のボランティアスタッフが来島して賑やかになる予感の春です! 一方、村民ボランティアとして大活躍の方もたくさん島を離れてしまう寂しい春でもあります(泣) 寂しいですが・・・また小笠原で会えた時には「成長したね!」と声をかけていただけるくらいのスタッフになりたいと思いますので、絶対にまた遊びに来てくださいね!!!     それではまた来月のブログでお会いしましょう!    

新人スタッフ奮闘記(その④)2022-02-28T20:38:32+09:00

新人スタッフ奮闘記(その③)

2022-01-24T15:36:06+09:00

みなさんこんにちは! 小笠原海洋センタースタッフのしみずです。 あけましておめでとうございます!(とっくに明けていますが…笑) 2022年も、皆様に楽しんでいただけるブログが書けるよう頑張ります!どうぞよろしくお願いいたします。 今年の冬は、長く住んでいる島民が「今年は寒い!」と話すくらいの寒さです。 海洋センターでは毎朝、水槽の水温と気温を記録しているのですが、気温は18℃を切ることがあります。この冬、大雪に見舞われている本州の方にとっては夢のような暖かさを想像されるかもしれませんが、遮るものがない海から吹く冷たい風(しかも強風)は体感温度を容赦なく下げてきます。皆さまが冬の小笠原への旅行を計画される際は「普通に寒い」ことを覚悟してきてくださいね。 ちなみに、スタッフは寒い~~!と言いながらも、素足にギョサンで水槽の掃除をしています。矛盾していますが、水仕事で濡れるので仕方がないのです。しかし、デスクワークにはもこもこのスリッパが必須です!   さて、とうとう2022年1月1日がやってきました。 ただ新年がやってきたというだけではありません。   ついに、ついに、 『子ガメの放流』 が始まったのです!!!! 2021年の夏に大村海岸で産み落とされた卵が海洋センター内のふ化場でふ化し、さらにヘッドスターティング事業として半年間の飼育期間を経て、ついに海へと旅立っていきました。 (大村海岸の卵の移動・ヘッドスターティング事業についての説明はコチラから→ https://bonin-ocean.net/about-greenturtle/hatchery-practice )   当日は小笠原村観光協会の撮影の皆様、情報を聞きつけて集まった島民や観光客の皆様に見守られて旅立っていきました。偶然、ダイビングに行く途中で海の中から見守ってくださった方も!ご見学された皆様、当日は離れた位置からそっと子ガメたちを見守っていただき、ありがとうございました。 今回放流した子ガメたちとはたった2か月ほどしか一緒に過ごしていませんが、それでも毎日顔を合わせていた子ガメの旅立ちは感慨深く、寂しく、それでいて「あの子たちなら大丈夫」と自信に満ちた気持ちになりました。どの水槽よりもたくさん食べる水槽のカメたちで、体つきもしっかりしていたので、きっと海でもしっかりご飯を食べて、大きく育ってくれるはず!と自信を持って送り出すことができました。 実家から一人暮らしをする娘を送り出した母親の気持ちと似ているような気がします。送り出される側の娘の立場しか経験していないので想像ですが・・・   放流の様子は、小笠原村観光協会のYouTubeにて公開される予定です! 公開されましたらぜひご覧ください! きっと今頃、四国や九州の沿岸を目指して一生懸命泳いでいると思います。 今回放流した子ガメたちが大きくなって、この小笠原の海で再会できることを夢見ています。       まだ海洋センターで飼育している子ガメたちも、順次放流していく予定です! 2022年も新型コロナウイルスの感染拡大が続くため、オンラインイベントでの放流も予定しています。 「小笠原には遠くてなかなか行かれない・・・」という方も、HP上やSNSでお知らせがありましたらぜひ参加してみてくださいね。 (放流時の素敵なお写真は村民ボランティアの方から提供していただきました!ありがとうございます!)     さて、新人といえども小笠原に来てからあっという間に約3か月が経ちました。新年度になるタイミングは、多くの会社と同じように体制が少し変わったり、仕事の分担を見直したりするので、私のところにも今まで担当していなかった仕事が任されるようになりました。それが先ほどお話した放流のことであったり、お客様にはなかなか見えない事務の分野のお仕事であったりと様々です。 とはいえ、まだ3か月ですのでまだまだ経験していない業務もたくさんあります。   初回のブログでお話したザトウクジラ調査も、実はまだ行けていません(泣) 船のトラブルや天候不良など、いろいろあったのです・・・(泣) 早くザトウクジラに会いたいな~と気持ちばかりが募っています。しっかりと活躍できるように、調査に行けるその日までたくさん勉強しておきます!!! (1度だけ、とても遠くにザトウクジラを発見!尾びれが映っています。見つけられますか?)       皆様は新年の目標は立てられましたか? ・・・あ、1か月ほど経ちましたがまだ維持されていますか?というと、身に覚えのある方も多いのではないでしょうか(笑) 2022年、個人的にはとにかく動く1年にしたいと考えています。 たくさん自分から動くことで、まだ経験していない業務を覚えたり、不慣れな業務もたくさん経験してより短時間で効率よく行えるようにしたりと、とにかくたくさん吸収して成長したい!と思っています。 ついつい3日坊主になりがちですが、入社したての1年間、しっかり目標達成したいと思います! それではまた次回の更新でお会いしましょう!! お読みいただきありがとうございました!!

新人スタッフ奮闘記(その③)2022-01-24T15:36:06+09:00

新人スタッフ奮闘記(その②)

2021-12-30T17:24:45+09:00

みなさんこんにちは! 小笠原海洋センタースタッフの清水です。 先日のブログから1か月、小笠原はすっかり寒くなりました。 寒いとはいえ、20度を下回ったところくらいですが… 北海道在住の友人に「まだ夏の気温じゃん!」と揶揄われつつ、すっかり暖かさに慣れた体には寒くてたまりません。 前回のブログで「とびうお桟橋のシロワニ」には出会えず…と書いた数日後、めでたく出会うことができました!     しかも2匹も!!そしてシロワニだけでなく、とびうお桟橋では常連のネムリブカ、マダラエイとの競演も見ることができました。手が届きそうな場所で繰り広げられる水族館のような光景に大興奮!! ちなみに、とびうお桟橋に行くと90パーセントくらいの確率で出会えるのがこちらの「ネズミフグ」。 ちょっとおとぼけな顔がキュート♡人懐っこく寄ってくる人気者です。 その他にも「ロクセンスズメダイ」や「ボラ」、「イスズミ」などたくさんの魚に出会えるとびうお桟橋。時間があるとつい覗きに行ってしまう、お気に入りの場所です。 最近の海洋センターはと言いますと、長く活躍してくれていたボランティアメンバーたちが離島してしまい、すっかり寂しくなりました。ですが、村民ボランティアに1名新しいメンバーが増え、まさに「出会いと別れの島」を体感しています。年末年始はスタッフのみという少ないメンバーですが、寒さに負けず頑張ります!!   さて、海洋センターのヘッドスターティング事業で飼育している子ガメたちはふ化後5か月を迎え、どんどん成長中です。 この1か月で成長を最も感じた瞬間は、甲羅磨きという作業の最中です。 だいたい2週間に1度くらいのペースで、水槽の大掃除と合わせて子ガメの体に生えたコケや藻を綺麗にする甲羅磨きを行っています。甲羅磨きという名前ですが、背中もお腹も肢(あし)も全て掃除して綺麗にしています。 だいたいの場合は、左手で子ガメを持ちつつ右手にスポンジや歯ブラシを持って甲羅磨きをするのですが、2021年生まれの子ガメたちは体重1㎏を超える子も増えてきていて、片手で持つには重たくなってきました。さらに、甲羅磨きの時にぱたぱたと動かす前肢(まえあし)の力が強くなってきて、前肢にある爪も鋭くなってきていて、ちょっと痛い思いをすることもしばしば・・・笑 子ガメたちに「じっとしてて!お願い!」と頼み込みながら、毎回必死で掃除をしています。 それもこれも、子ガメたちが順調に大きくなっているという証拠!嬉しいことです♪ (片手で持ってみました、大きさが伝わるといいのですが・・・笑)   私の個人的な近況としては、お客様にウミガメのレクチャーを行う「ウミガメ教室」デビューをしました!反省点が多く落ち込みましたが・・・優しい先輩に「ぜんぜん大丈夫だよ!!」と励ましていただいたので、反省を生かして今後も頑張ります!!! また、先日初めて「ウミガメの放流」を経験しました。 放流したのは小笠原水産センターで飼育されていた「かめだ ろく」。 放流地点までの移動中、車の中では元気いっぱい!砂浜に降ろしてからも、周りを気にしながらマイペースに進む「ろく」。海に入ってからは、息継ぎのたびにスタッフたちを確認しているかのように砂浜を気にしていましたが、いずれ見えなくなっていきました。 初めて自分の手からウミガメが離れていき、元気いっぱいに海の中を泳いでいく姿を見て、思わず涙しそうになりました。「ろく」がいつかまた小笠原の海に戻ってきて、繁殖に参加してくれるといいなと願っています。 「ろく」、元気でね!! (写真左:水産センタースタッフ、写真中央・右:海洋センタースタッフ、撮影:村民ボランティア) 当ブログは今回が今年最後の更新となります。(今年は数えるほどしか更新していませんが・・・笑) 来年も皆さまに小笠原海洋センターを身近に感じていただけるような発信をしていきたいと考えておりますので、来年もよろしくお願いいたします!! それでは皆さま、よいお年を!!!

新人スタッフ奮闘記(その②)2021-12-30T17:24:45+09:00

【けろにあぶろぐ #1】ウミガメの進化を垣間見る

2021-12-15T17:36:50+09:00

みなさんこんにちは! こちらのブログ【けろにあぶろぐ】では、 海洋センタースタッフの目線から、ウミガメ(たまにクジラも?)について気づいたことなどを書き、 みなさまとシェアできればなと思います。 第一回目のタイトルはずばり、、、 「ウミガメの進化を垣間見る」 毎日ウミガメを見ていると彼らのどんな些細なことでも疑問がわいてきます。 本日は水槽掃除中に思い浮かんだ、ウミガメの進化に関するプチ「どうして?」をテーマに進めていきたいと思います。 こちらは水槽掃除中のウミガメたち📸 海洋センターの最年長、アカウミガメの「なっちゃん」も   タイマイの「キイロ」も 水槽掃除の時はなすすべもなく少し首を引っ込めて丸まっていることが多いです。 周りからは「かわいい~」「首が引っ込んでる~」といった声が聞こえてきます。 首が引っ込むイメージがないウミガメのこうした一面は、私たちの目に愛らしく映るのかもしれませんね。ギャップ萌えというやつでしょうか。 しかし、僕はふとおもいました。 なんでウミガメの首って完全に引っ込まないのっ!!?? そこに進化的な背景があるのは確かですが、なぜ固い甲羅の中という防御を捨ててまでこうした体になったのか。 気になって仕方がないので、少し調べてみることにしました。   ◆ 初期のウミガメ類・カメ類とは? 調べてわかったことは、どうも初期のウミガメ類も首を甲羅の中にしまっている様子がありません。 白亜紀の海を泳いでいた史上最大のカメ「アルケロン」や、同じ時代に生きた「デスマトケリス」の頭骨はその体と比較して大きく、 骨格も現生のウミガメ類に酷似しています。 このことは彼らが今のウミガメ類と同じような体・形態を持っていたといえるのではないでしょうか。 非常に興味深い点として、2億1000万年前の地層から発見された最古のカメの仲間の一種(ウミガメではなく全体的なカメ類の一種)、「プロガノケリス」の頭が引っ込まなかったということ。 代わりにこのカメの首周りにはギザギザした甲板が発達し、弱点を守る働きをしていたそうです(平山, 2007)。 この「プロガノケリス」よりも1千万年古い時代に生息していたとされる「オドントケリス」もこの平べったい体を見る限り、 甲羅の中に頭が入るスペースはなさそうです。   ◆ なぜウミガメは首を甲羅の中に隠さないのか? となると昔のカメは首が引っこまずに、後になって子孫のカメ類がその能力を獲得したということでしょうか? Joyce (2015)や平山(1998)はカメが首を引っ込めることが可能になったのは現生カメ類の2大グループ、 「潜頸亜目(ミシシッピアカミミガメやスッポンなど)」そして「曲頸亜目(ヨコクビガメなど)」が出現してからだとしています(曲頸亜目は首を横に曲げることによって首を保護する)。 実は、現生のウミガメは全て「潜頸亜目」に属しており、縁日で有名なアカミミガメも滋養強壮に効果があるとされるスッポンも、大きなくくりで言えばウミガメと同じ仲間ということです。 カメ全体で言えば首の前後は後天的なもので、この2つのグループに分かれてから首が引っ込む能力を獲得した(曲頸亜目では首を曲げる)、というのが現在の説だそう。 ウミガメは生活の場を海へとシフトしたため、首を甲羅に隠す必要がなかったのでしょうか。 たしかに推進力を得るためのヒレと頭部を両方引っ込めていては、甲羅の中に多大なスペースを作らなければなりません。 そうなると流線型の体から遠のいて、水の抵抗が増してしまいます。 いずれにしろ、彼らはこの形態のまま現代まで生き延びており、 「首が引っ込まない」となにか捕食者に対する防御力が下がったような言い方をされますが、 祖先的な形状を残して進化した ということではないでしょうか?   少しは縮むウミガメの首に、彼らの昔の姿を想像してしまいますね。   参考にした文献 Joyce, W. G. (2015). The origin of turtles: A paleontological perspective: ORIGIN OF TURTLES. Journal of Experimental Zoology Part B: Molecular and Developmental Evolution, 324(3), 181–193. https://doi.org/10.1002/jez.b.22609 亀崎直樹. (2012). ウミガメの自然誌: 産卵と回遊の生物学. 東京大学出版会. 平山廉. (2007). カメのきた道 甲羅に秘められた2億年の生命進化. NHK出版.          

【けろにあぶろぐ #1】ウミガメの進化を垣間見る2021-12-15T17:36:50+09:00

初めての離島生活@小笠原(木村莉子さん)

2021-12-07T11:55:53+09:00

みなさんお久しぶりです。 先日横浜事務所での実習の様子をブログに綴った 大学生実習生の木村莉子です。 (横浜事務所での実習の様子はこちら → https://www.elna.or.jp/20211008/) 父島での実習が始まり早くも1週間が経ちました。 人生初の島暮らしとなった今回の父島生活ですが... 同じ国の中なのに、ましてや同じ東京都に属しているのに、 カルチャーショックの連続です!! この記事では「実習生の父島ライフ」に焦点を当て、 私が島に来て驚いたことや面白いと感じたことをシェアしていきたいと思います。 父島ライフはおがさわら丸、通称おがまるの乗船とともに始まります。 たかが移動手段!なんて考えている方もいらっしゃるでしょうが、 島で出かけた先で「あの時のおがまるに乗ってた子だ!」と声をかけてもらえることもあるんですよ。 乗船のその瞬間から島生活は始まっています。 そんなおがさわら丸の運行と切っても切り離せないのが村での買い出しです。 たくさんの物資を積んだおがまるが到着した日にはこんなに賑わっているスーパーも...   数日経つとこの通り。 おがまる入港日に1週間分の買い出しをしておくのが島で生き抜くコツなのかもしれません。 入港中にしか営業していないお店や、逆に出港中にしか開いていないカフェもあり、 島においては曜日よりもおがまるの入港・出港スケジュールが暮らしの指標になっていることがうかがえます。 実際に、島で使われるカレンダーには、このように「入港」「出港」と大きく記載があります。 カレンダーという日常の道具から島の人の暮らしが垣間見えるのはとても興味深いです。 暮らしのあちこちで父島の豊かな自然が活用されているのも、 島に来て驚いたことの一つです。 海洋センターの業務の一部としてウミガメが産卵した場所を掘り返す作業があるのですが、 その時に使用する道具がこちら。   熱帯地方に広く分布するモモタマナの枯れ葉です。 業務中はこの枯れ葉が筆記用具代わりになります。 産卵場所の識別番号を枯れ葉に書き、 その辺に落ちている枝に突き刺すことで掘る位置を示すのです。 自然物を拝借し活用したのち、作業を終えるとまた自然に戻す。 人と自然のバランスがとれた父島だからこそ成り立つ暮らし方でもあります。 そんなモモタマナですが、実は食用ナッツとしても親しまれています。 こちらは島のカフェで開催されたファーマーズマーケットの様子です。 売られているクッキーに注目すると、 モモタマナの実がトッピングされたものがあります。 枯れ葉をノートとして使うだけに留まらず、 モモタマナの実は島民の方々の休日を彩っているのですね。 このほかにも、台風が来た際には砂浜に落ちているサンゴを拾ってきて重石にしたり、 (青いネットの下にぶら下がっているのがサンゴです) おがまる出港のお見送りの際には島の植物を使ったレイを作って渡したりと、 内地の生活とはかけ離れているけれども豊かな暮らしが父島には存在します。 壮大な自然を見て、嗅いで、時に活用することを通して、 都会の便利な暮らしからは決して得ることのできない満足感で心がいっぱいになります。   以上が父島ライフの紹介になります。 といっても、この記事で取りあげた内容は島生活のほんの一部に過ぎません。 来島してから早1週間、到着したてのころに感じていた感動が 薄れてきてしまうことに寂しさを感じることもありますが、 一人前の島民を目指し日々島文化との触れ合いに努めてまいります! 次回の記事もお楽しみに!

初めての離島生活@小笠原(木村莉子さん)2021-12-07T11:55:53+09:00
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