【展示館開館のお知らせ】
SakamotoTakeya2022-07-28T17:30:05+09:00小笠原海洋センターは7/26(火)より、展示館を通常開館いたします。 開館時間は以下の通りです 開館:9:00 昼休み(昼休み中は閉館):12:00~13:30 閉館:16:00 展示館を楽しみにしていたお客さまには大変ご迷惑をおかけしました。 明日よりみなさまのお越しをスタッフ一同お待ちしております 小笠原海洋センター
小笠原海洋センターは7/26(火)より、展示館を通常開館いたします。 開館時間は以下の通りです 開館:9:00 昼休み(昼休み中は閉館):12:00~13:30 閉館:16:00 展示館を楽しみにしていたお客さまには大変ご迷惑をおかけしました。 明日よりみなさまのお越しをスタッフ一同お待ちしております 小笠原海洋センター
島内での新型コロナウイルス感染拡大の状況を鑑み、明日7/18日より当面の間、開館は《屋外水槽エリアのみ》となります。 ウミガメおやつ及び一部物販は屋外で販売いたします。 予定されていたプログラムも通常通り開催いたします。 なお、従来展示館で販売している商品の一部は下記オンラインショップでもご購入いただけます。 ELNAサポートショップ はこちら ELNA(エバーラスティング・ネイチャー)は、小笠原海洋センターの運営団体です。 ぜひご利用くださいませ。 さらなる感染拡大を防ぐため、皆様のご理解とご協力をお願いいたします。 小笠原海洋センター
小笠原海洋センターでは今年第一号の子ガメsがふ化しました! 画用紙くらいの厚さしかない小さな手足をバタバタさせる姿に、スタッフTSも心を打たれるばかりです。こんな小さいのに海岸をせっせと歩いて、大海原へと旅立っていくなんて、、、。 親の愛情を一身に受けてぬくぬくと育つ我々とまるで違う生き物なんだなと、改めて思う今日この頃です。 わさわさ出てきます。 目も顔に比べて非常に大きいです。 丸いお顔やお目め、体に不釣り合いなくらい大きな顔は、我々人類もウミガメも赤ちゃんの共通項なようです。 さて、そんなとっても小さな彼らですが、最近の研究では「どうやら鳴いている・発声しているらしい」ということが明らかになってきています。長らくウミガメを含むカメ類は「耳があまり聞こえず、あまり喋らない生き物」と考えられてきました。 カメやウミガメは哺乳類のような耳介(耳の出っ張り)を持たず、音に良く反応しているとは言い難いです。私たち小笠原海洋センターのスタッフも、夜間パトロールで産卵のため浜に来たお母さんウミガメをよく見ますが、あまり物音に気付きません。また、犬や猫のようにワンワン、ニャンニャン発声する様子もなく、こうしたカメの形態や生態が、彼らが「静かな生き物たち」と言われる所以だとか (Charrier et al., 2022)。特にカメ類は外部からの情報の大半を嗅覚及び視覚に頼っているとされ(Ferrara et al., 2019)、「音」に関するカメの研究が為されなかったのもうなずけます。 しかし、ここ10年ほどの研究によると、カメは従来考えられていたよりも「音」を出していることがわかってきました。陸生、水生合わせて少なくとも50種以上のカメが何らかの形で音を発し、敵対的な行動、交尾時などに多いそうです。ついには親子間での音のコミュニケーションまでが「音」で交わされているという報告も!(Ferrara et al., 2019) 2013年に発表された「カメ類における子ガメふ化後の親子間の鳴きかわしについて / Turtle Vocalizations as the First Evidence of Posthatching Parental Care in Chelonians」と大々的に題された論文では、南アメリカに棲息する「オオヨコクビガメ」のとても興味深い行動について研究がなされています。 なんでもこの実験では、オトナのメスのオオヨコクビガメがいる水槽に140匹の子ガメを放ち、双方の行動を観察。カメから発せられる音をレコーディングしたそうです。するとなんと、子ガメもオトナガメどちらも「音」を出し、オトナガメたちは子ガメに近づいていったではありませんか! オオヨコクビガメのメスと子ガメたち。どうやらメスは子供たちの鳴き声に反応するらしい。 またオオヨコクビガメの子ガメを同種のオトナメスのオオヨコクビガメがいる水槽に入れたところ、子ガメたちは、メスのカメに近づき甲羅の上や、体にぴったりとくっついて休みだしたと書かれています。 また、自然界でオオヨコクビガメは子ガメがふ化するまで2か月ものあいだ、巣の近くの川でじっと過ごし、子ガメが出てくると一緒に泳いでえさ場まで旅をするそうです (Ferrara et al. 2013)。この時に、親子の間で「鳴きかわし」が行われていると予想されます。 彼らはこれを「カメ類で初めて発見された親子間の音声コミュニケーション」としています。 いかがでしょうか? ここに挙げたのは一つの研究だけですが、彼らにも少なからず社会性があることはとても興味深い事実です。 事実、「従来考えられていたより、カメは様々な音を発する」と様々な文献でまとめられております。 その音がコミュニケーションに使われているのか、それともただの音なのかはもう少し研究が必要なところ。 そして我らがウミガメはというと、「音によってふ化を同調させる」などの推測が為されていますが、先に挙げた水生や陸生のカメのようにあまり詳しくはわかっていません。 かといってウミガメが「音」を出さないのかというと、そう単純でもないようです。 さて次回の「カメは鳴くのか?」コラムでは「ウミガメの音」について焦点をしぼってゆるっとお話していきます。 次の投稿で書けるかわかりませんが、それではまた、楽しみにしていてください! 参考文献 Charrier, I., Jeantet, L., Maucourt, L., Régis, S., Lecerf, N., Benhalilou, A., & Chevallier, D. (2022). First evidence of underwater vocalizations in green sea turtles Chelonia mydas. Endangered Species Research, 48, 31–41. https://doi.org/10.3354/esr01185 Ferrara, C. R., Vogt, R. [...]
来る日も来る日も雨に降られ、予定が思うように進まない今日この頃。そんな雨をものともしないアオウミガメはこれから産卵のピークを迎え、センタースタッフT.S.も始めて肌に触れて感じるウミガメの生態に驚きが募るばかりです。 さて、「イルカの骨を眺める」コラムも第3回に突入しました。 「もっとウミガメのことも書いてくれ!」 とみなさまの声が聞こえてきそうですが、たまにはこういう記事もいいかなと、半ば自己満足的に記事を書いております。そんなスタッフT.S.ですが、今回もイルカの不思議についてゆるっと書いていきますので、最後までお付き合いいただければ幸いです。 前回の記事はこちら ⇒ 【けろにあぶろぐ #6】イルカの骨を眺める ② ~ヒレの骨~ 生活環境を陸から海へと変えるということは、生物にとって大きなボディプランの改変を余儀なくされ、イルカも例外ではありません。 指の骨の数が哺乳類にしては多いとか(前回記事参照)、頭に脂肪組織が詰まっているとか(前々回記事参照)。 水族館やドルフィンスイムで人気者のイルカですが、フタを開けるとけっこう変わった生き物だなと私は感じます。 そんな風変りなイルカさんですが、首の骨も奇妙な形をしています。 爬虫類であるウミガメを引き合いに出すのもどうかと思いますが、同じ海生動物であるウミガメの首の骨はこんな感じ。 ちなみにウミガメは頸椎が8個あり、人間と比べると1つ多いです。右の写真では5つ見えているので、残り3つは甲羅の中にフィットしています。 想像していたものより長いんじゃないでしょうか。 海洋センターの水槽掃除の時にウミガメたちが首を引っ込めるのも、この長い首のおかげですね。 対して、イルカさん。 右の写真の赤い丸で囲ったところが首の骨。 首短ッッッ! え.... 首短ッッッッッ!(大事なことなので2回言いました) というかなんかもう、「ギュッ」となってて一個の骨みたいになってます。 なのですがイルカも哺乳類の仲間。キリンや人間と同じで、ちゃんと首の骨は7つあります。 第1頸椎~第7頸椎(青字)。第7頸椎の次の骨は第1胸椎(胸の骨)で、肋骨が見える。 鯨類の第1頸椎(環椎)と第2頸椎(軸椎)は癒合していて、1つの骨みたいになってます (Perrin et al., 2017)。頸椎(けいつい)とは首の骨のこと。種によってまちまちですが、第3頸椎まで癒合しているものもいます。第3頸椎から第7頸椎は写真のように、薄っっっすい骨がミルフィーユみたいに連なっています。 ちなみにベルーガ(シロイルカ)やアマゾンカワイルカなどはこの頸椎の癒合が進んでいないため首をタテヨコナナメと、比較的自由に動かすことができます (Goel et al., 2021)。水族館などで体を縦にしながら首だけ飼育員の方を向くベル―ガを見たことがあるかと思いますが、これは首の癒合が進んでいない彼らだから為せる技なのです。 こんな調子で鯨類は、顔の大きさの割に非常に短い首の骨を持っていることが知られています。 大きなクジラも、愛らしいイルカも、首の骨が短いのは鯨類で共通の特徴なのです。 なぜこんなに首が短いのか? 色々文献を読んでいると、「泳ぎやすくなるために進化した」という答えにたどり着きます。 しかし、首が短いのと泳ぎやすいのとどう関係があるのか。 次回のブログではもう少し掘り下げて、ゆるっとお話したいと思います。 ではまた! 参考文献 Goel, A., Shah, A., & Gaikwad, S. (2021). A morphological analysis of the cervical spine of the dolphin. Journal of Craniovertebral Junction and Spine, 12, 72. https://doi.org/10.4103/jcvjs.jcvjs_9_21 Perrin, W. F., Thewissen, J. G. M., & Würsig, B. G. (2017). Encyclopedia of marine mammals (3rd). [...]
前回の記事はこちら ⇒ 【けろにあぶろぐ #5】イルカの骨を眺める ① ~展示館のハシナガイルカ~ 海への生活へ適応したイルカやクジラたち。彼らの祖先の登場は遡ることはだいたい5000万年前。ちょうど恐竜が絶滅し、約1500万年経った後にその頭角を現し始めました。 現在では「パキケトゥス」が直接の祖先ではないにしても、最初期の鯨類であることは長年の研究によって明らかになっています。 オオカミほどの大きさだったと言われているパキケトゥス。 陸をとことこと歩いていた彼らから、大海原を駆け泳ぐまでになったわけですから、体の形態を大幅に変える必要がありました。 そして陸を起源に持つ彼らのヒレには、ちゃんと指の骨がついています。 機能は違えどイルカとヒトのヒレ・前腕の骨は同じ構造を持ち、これを「相同器官」(起源は同じだが現在は働きが異なる器官のこと)といいます。 地上を歩く「肢」から、水中で有利な「ヒレ」へと変化。ふむふむ、なるほど非常に理にかなった進化だな、とうなずけますね。 しかし私は最初イルカの指の骨を見た時どこか違和感を覚えました。 そう!「指の骨が多い」のです! 犬や猫も、他の哺乳類もそれぞれの指の骨の数は3本ほど。 驚くことにイルカは種類によっては中指が10本以上あるものもあり、この「指の骨がいっぱいある」状態を「指骨過剰」というそうです(樽, 2014) 海洋センターに展示されているハシナガイルカの骨格の2本目の指にも8本の骨が確認できます。 調べてみると、先端の骨1~2本は個体差があるとか(樽, 2014)。加えてイルカは個体によって胸椎や腰椎(胸と腰の骨)の数もまちまちで (Miyazaki, 1978; Marchesi et al., 2016)、指の骨の数が多少違っても不思議ではなさそうです。 何本も何本も指の骨があるヒトを想像すると少し気味がわるいですね。イルカは指を曲げることができないので、ぐねぐねすることはないですが、、、。 ですが、なぜこんなにも指の骨が多いのか? Fedak and Hall (2004) によると、この「指骨過剰 = Hyperphalangy」は 二次的に水中へと適応した動物相にしか見られないそう。 現在は絶滅しましたが、「ジュラシックワールド」で有名なあの「モササウルス」や「映画ドラえもんのび太の恐竜」でおなじみ、「ピー助」が属する「プレシオサウルス」の仲間も、みんなこの「指骨過剰」が顕著です。そして全ての種で共通して、四本肢である陸生起源の祖先を持ちます。 「指骨過剰」の面々たち しかしヒレ状の肢と指骨過剰には必ずしも絶対的な関係があるわけではないようです。 同じく海に棲息し、ヒレ状の肢を持つウミガメやアシカには、モササウルスやプレシオサウルスのような無数の微小な指の骨があるわけではありません。 実は現在のところ、指骨過剰とヒレ状の肢の因果関係は明らかになっておらず、「水中に生活の場を移した動物によく見られる」ということだけがわかっています (Fedak & Hall, 2004)。 ただ、陸生の動物相にこの特徴が見られないという事実は、海中では指の骨の多さが生存上有利だったということが推測されます。 指骨過剰は、現存する鯨類のハクジラとヒゲクジラ2つのグループで独立して獲得された形質(クジラとイルカの共通の祖先の指の骨が多かったわけではなく、2つのグループに分かれた後、指の骨が多くなった)だという事実も (Fedak & Hall, 2004)、それがいかに有利かということを物語っています。 いかがだったでしょうか? 大昔に棲息していた生物と共通点があったなんて、動物の世界はまだまだわからないことだらけですね。 では次回のブログでお会いしましょう! 参考文献 Fedak, T. J., & Hall, B. K. (2004). Perspectives on hyperphalangy: Patterns and processes. Journal of Anatomy, 204(3), 151–163. https://doi.org/10.1111/j.0021-8782.2004.00278.x Marchesi, M. C., Pimper, L. E., Mora, M. S., & Goodall, [...]
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