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【けろにあぶろぐ #6】イルカの骨を眺める ② ~ヒレの骨~

2022-06-13T16:07:09+09:00

前回の記事はこちら ⇒ 【けろにあぶろぐ #5】イルカの骨を眺める ① ~展示館のハシナガイルカ~ 海への生活へ適応したイルカやクジラたち。彼らの祖先の登場は遡ることはだいたい5000万年前。ちょうど恐竜が絶滅し、約1500万年経った後にその頭角を現し始めました。 現在では「パキケトゥス」が直接の祖先ではないにしても、最初期の鯨類であることは長年の研究によって明らかになっています。 オオカミほどの大きさだったと言われているパキケトゥス。 陸をとことこと歩いていた彼らから、大海原を駆け泳ぐまでになったわけですから、体の形態を大幅に変える必要がありました。 そして陸を起源に持つ彼らのヒレには、ちゃんと指の骨がついています。 機能は違えどイルカとヒトのヒレ・前腕の骨は同じ構造を持ち、これを「相同器官」(起源は同じだが現在は働きが異なる器官のこと)といいます。 地上を歩く「肢」から、水中で有利な「ヒレ」へと変化。ふむふむ、なるほど非常に理にかなった進化だな、とうなずけますね。   しかし私は最初イルカの指の骨を見た時どこか違和感を覚えました。   そう!「指の骨が多い」のです!   犬や猫も、他の哺乳類もそれぞれの指の骨の数は3本ほど。 驚くことにイルカは種類によっては中指が10本以上あるものもあり、この「指の骨がいっぱいある」状態を「指骨過剰」というそうです(樽, 2014) 海洋センターに展示されているハシナガイルカの骨格の2本目の指にも8本の骨が確認できます。   調べてみると、先端の骨1~2本は個体差があるとか(樽, 2014)。加えてイルカは個体によって胸椎や腰椎(胸と腰の骨)の数もまちまちで (Miyazaki, 1978; Marchesi et al., 2016)、指の骨の数が多少違っても不思議ではなさそうです。 何本も何本も指の骨があるヒトを想像すると少し気味がわるいですね。イルカは指を曲げることができないので、ぐねぐねすることはないですが、、、。   ですが、なぜこんなにも指の骨が多いのか?   Fedak and Hall (2004) によると、この「指骨過剰 = Hyperphalangy」は 二次的に水中へと適応した動物相にしか見られないそう。 現在は絶滅しましたが、「ジュラシックワールド」で有名なあの「モササウルス」や「映画ドラえもんのび太の恐竜」でおなじみ、「ピー助」が属する「プレシオサウルス」の仲間も、みんなこの「指骨過剰」が顕著です。そして全ての種で共通して、四本肢である陸生起源の祖先を持ちます。   「指骨過剰」の面々たち   しかしヒレ状の肢と指骨過剰には必ずしも絶対的な関係があるわけではないようです。 同じく海に棲息し、ヒレ状の肢を持つウミガメやアシカには、モササウルスやプレシオサウルスのような無数の微小な指の骨があるわけではありません。 実は現在のところ、指骨過剰とヒレ状の肢の因果関係は明らかになっておらず、「水中に生活の場を移した動物によく見られる」ということだけがわかっています (Fedak & Hall, 2004)。 ただ、陸生の動物相にこの特徴が見られないという事実は、海中では指の骨の多さが生存上有利だったということが推測されます。 指骨過剰は、現存する鯨類のハクジラとヒゲクジラ2つのグループで独立して獲得された形質(クジラとイルカの共通の祖先の指の骨が多かったわけではなく、2つのグループに分かれた後、指の骨が多くなった)だという事実も (Fedak & Hall, 2004)、それがいかに有利かということを物語っています。     いかがだったでしょうか? 大昔に棲息していた生物と共通点があったなんて、動物の世界はまだまだわからないことだらけですね。 では次回のブログでお会いしましょう!     参考文献 Fedak, T. J., & Hall, B. K. (2004). Perspectives on hyperphalangy: Patterns and processes. Journal of Anatomy, 204(3), 151–163. https://doi.org/10.1111/j.0021-8782.2004.00278.x Marchesi, M. C., Pimper, L. E., Mora, M. S., & Goodall, [...]

【けろにあぶろぐ #6】イルカの骨を眺める ② ~ヒレの骨~2022-06-13T16:07:09+09:00

【4/26 展示館 臨時閉館のお知らせ】

2022-04-25T20:51:10+09:00

島内での新型コロナウイルス感染拡大の状況を鑑み、明日4/26日の開館は《屋外水槽エリアのみ》となります。 展示資料の見学、販売商品の購入はできませんのでご注意ください。 ウミガメおやつのみの販売となります。 皆様のご理解とご協力をお願い致します。  

【4/26 展示館 臨時閉館のお知らせ】2022-04-25T20:51:10+09:00

【けろにあぶろぐ #5】イルカの骨を眺める ① ~展示館のハシナガイルカ~

2022-04-17T09:55:23+09:00

過去の調査写真を見返しているとこんな写真が、、、。 左は調査船まで接近したミナミバンドウイルカの群れ。 右は船首波に乗るハシナガイルカたち。 水中を縦横無尽に駆け泳ぐ、遊び好きのイルカたちの姿はとても愛らしく、クジラやウミガメのどっしり構えた感じとはまた違った魅力がありますね。 そんな可愛らしいイルカたちですが、実は「骨」を観察すると、非常に面白い造りをしていることがわかります。 なにしろ、陸から海へと進出したわけですから、色々と体の構造を変える必要があったわけです。 今回は彼らの骨のちょっと変わった一面(というより内面?)のお話です。     /ドンッッッ!!!\   こちらは小笠原海洋センターに展示されている、ハシナガイルカ の骨格標本。 1991年の大みそかに父島の扇浦海岸に漂着しているところを発見されました。   漂着とは鯨類が死んだ状態で浜辺に打ちあがってしまうこと。 水産庁が2012年に設置した「鯨類座礁対応マニュアル」では、以下のように定められています。  座礁 ・・・ 生きたまま海岸又は潮間帯に乗り上げた状況  漂着 ・・・ 死亡した状態で海岸又は潮間帯にたどり着いた状況 ちなみに座礁や漂着のことを英語で「ストランディング/stranding」といいます。しかし、IWC(国際捕鯨員会。2019年に日本が正式脱退をしたのは記憶に新しい。)の「ストランディング」ページなどの海外サイトを一見すると、「漂着」と「座礁」のような言葉の使い分けはされていません。厳密にいうと、"live stranding" や "dead stranding" という言い訳をしますが、一つの単語を打ちあがった生物の状況で使い分けるということは我が国がいかに鯨類と真摯に向き合ってきたかを示しているのではないでしょうか。   話が少し逸れてしまいました。今日私がお見せしたいのはそう、そんなイルカの本当の「素顔」です。   /どうもハシナガイルカです\   見てくださいこのお顔 Σ(゜ロ゜;)!! 最初に見たとき、「なんだこれ、、、、!?」と感想を抱いたのを今でも鮮明に覚えております。 他の動物では膨らみがあるはずの口先から頭頂にかけての部分が、大きくえぐれたように凹んでいます。 人類を魅了して止まないあの可愛らしいお顔の下がこんなプレデターだとは誰が想像したでしょうか?   ちなみに私は以前、イルカの骨格標本の作成に携わったことがあります。実は鯨類の骨は穴だらけでスカスカ。その中に油がいっぱい詰まっています。 この油分が体温保持、エネルギーの貯蔵や浮力調整に一役買っているわけなのですが、、、(Wysokowski et al., 2020)。 脱脂の工程で油をきれいに抜かないと、滲んで骨が黄ばんでくるわけです! しかし、この標本は30年経った今でも劣化があまり見られず、手慣れた方が作成されたのかなと思ったりしています。 それとも夏場もクーラーが効いている展示館で保存されているから状態が良いのかも。本当のところはわかりませんが、、、。   またまた話が逸れてしまいました。   イルカの頭骨がこんなにも凹んでいるのは、ここに「メロン」呼ばれる脂肪組織が詰まっているから。 この「メロン」がイルカのエコロケーション(簡単に言うと、音を発して跳ね返ってきた音で物体の距離や方向を知ること。)を可能にしています。 このように水中生活に適応するように進化したイルカの骨格は陸生哺乳類のそれとは大きく形が異なります。 骨盤が退化していたり、首の骨が癒合していたり、歯の形が上下のあごで全て同じだったり(このことを同形歯性という。人間の歯は犬歯や奥歯で形が違うので異形歯性だ。)、頭蓋骨が左右非対称だったり、、、、。   と、イルカの骨格の風変りな点を挙げるとキリがないですね。   とりあえず今回はこの辺にしまして、次回より数回に分けてイルカの骨の特異性について書こうと思います! それでは次回もお楽しみに!   参考文献 Wysokowski, M., Zaslansky, P., & Ehrlich, H. (2020). Macrobiomineralogy: Insights and Enigmas in Giant Whale Bones and Perspectives for Bioinspired Materials Science. ACS Biomaterials Science & Engineering, 6(10), 5357–5367. https://doi.org/10.1021/acsbiomaterials.0c00364

【けろにあぶろぐ #5】イルカの骨を眺める ① ~展示館のハシナガイルカ~2022-04-17T09:55:23+09:00

離島生活は怖くない!〜海洋センターボランティアのすすめ〜

2022-04-27T10:48:10+09:00

みなさんこんにちは! 海洋センターボランティアの木村莉子です。 突然ですが、世界遺産小笠原諸島での1ヶ月の島生活、興味ありませんか?? 人生で一度は離島ライフを送ってみたい!と思う方も少なくないはず。 とはいえ、東京から南へ1000キロ、24時間の船旅でしかたどり着けない最果ての地で丸々1ヶ月暮らすなんてハードルが高すぎますよね。 そこで今回の記事では、そんな未来のボランティアメンバーの不安を払拭すべく、「父島って本当はこんなに暮らしやすい!」をテーマにボランティアの日常を紹介したいと思います。     【父島の暮らしやすさその1 〜気候〜】 まず初めにお伝えしたいのは、南の島ならではの暖かさです。 亜熱帯に属する父島は年間を通して暖かく、夏と冬の気温差が小さいのが特徴です。真冬でも天気の良い日のお昼時には半袖で過ごすことができます。 7月・8月でも最高気温は30℃前半と意外にも低く、関東より父島の方が涼しいと言われているんですよ。 海洋センターはビーチのすぐそばに位置しているので、12月でも昼休みにシュノーケリングを楽しむことができます。(すぐにシャワーを浴びないと冷えますが…。) 暖かな海辺で過ごしたい方・冬でもマリンスポーツを楽しみたい方・冷え性の方、ぜひぜひ海洋センターボランティアにご応募ください!     【父島の暮らしやすさその2 〜意外と充実してる!ボランティア宿泊施設〜】 続いてご紹介するのは、海洋センター内にある宿泊施設です。 ボランティアが寝泊まりする宿泊施設は、海洋センターの中にあります。   寝室には二段ベットが並んでいて、エアコンや除湿器、ハンガーや物干し、寝具などが完備されています。   数に限りはありますが、Tシャツ、ズボン、羽織りものやラッシュガードも共用のものが用意されているため、服を汚す心配なく日々の業務にあたることができます。   共同の休憩室にはキッチンがあり、調理器具や食器・冷蔵庫・ポット・コーヒーの焙煎機・電子レンジ・ホームベーカリーなどを自由に使うことができます。   地元の漁師さんから魚をお裾分けしてもらうこともあります。取れたての魚は絶品です!   共同生活と聞くと身構えてしまう方もおられるでしょうが、一歩外に出ると海!という開放的な宿泊施設で、思いのほか快適な暮らしを送ることができます。     【父島の暮らしやすさその3 〜気さくで優しい島民の方々〜】 最後にお伝えしたいのは、島の人の大らかさです。 父島には、様々なバックグラウンドを持った人々が暮らしています。 西洋や太平洋諸島の先祖を持つ欧米系の方々や、小笠原返還後に移住してきた方々、島の自然に惹かれ移住を決めた方や、お仕事の関係で来島された方など、 多様な来歴を持った人が混ざり合い生活しているためか、父島に来たのが初めてであってもすぐに仲間として接してもらえるような場面が多いと感じます。   島の人との会話の中で「父島のハチミツは美味しいよね〜」なんてお話ししているとハチミツ作りの見学に誘ってもらえたり、   「中学生の頃はバレー部に所属していました!」と話すと地域のチームの練習に混ぜてもらえたり、   ウミガメ漁師さんがキクラゲ狩りに連れていってくれたり、 (とってもハード!!)   クリスマスの時期にはガジュマルのライトアップイベントに誘ってもらったりと、1ヶ月の滞在であっても息をつく暇もないほど充実した時間を過ごすことができます。     「僻地の小さい島」という印象を持たれがちな父島ですが、気さくで活動的な島民の皆さんが企画するイベントや楽しい行事に溢れる濃厚な時間を過ごすことができます。 以上、過ごしやすい気候・充実した宿泊施設・島民の方の大らかさ と父島の暮らしやすさを紹介してきましたが、いかがだったでしょうか? なかなかハードルが高いように思える父島暮らしですが、定期船おがさわら丸に飛び乗ってしまえば、驚くほど充実した島時間があなたを待っています! みなさまのボランティアご応募をお待ちしています!   小笠原海洋センターではボランティアを随時募集しております  ⇒ 応募はこちら    

離島生活は怖くない!〜海洋センターボランティアのすすめ〜2022-04-27T10:48:10+09:00

プログラム料金改定のお知らせ

2022-04-02T14:46:26+09:00

2022年4月4日(月)より、小笠原海洋センターで開催しているプログラムの料金改定を行います。 ※ 表示価格は全て税込みです。 <2022年4月2日現在、開催中のもの> ○ ウミガメ教室【2時間コース】  改定前 → 大人(中学生以上):3,300円 / 小人(小学生):2,200円  改定後 → 大人(中学生以上):3,480円 / 小人(小学生):2,480円 ○ ウミガメ教室Lite  改定前 → 大人(中学生以上):1,600円 / 小人(小学生):1,100円  改定後 → 大人(中学生以上):1,980円 / 小人(小学生):1,480円   <2022年4月2日現在、休止中のもの> 下記のプログラムは再開の日時が決まり次第、ホームページ・SNSにてお知らせいたします。 ○ ウミガメ教室【3時間コース】  改定前 → 大人(中学生以上):5,500円 / 小人(小学生):3,300円  改定後 → 大人(中学生以上):5,480円 / 小人(小学生):3,480円 ○ 放流体験  改定前 → 1頭 7,700円  改定後 → 1頭 7,980円 ○ 子ガメ de Night!  改定前 → 大人(中学生以上):2,500円 / 小人(小学生):1,500円  改定後 → 大人(中学生以上):3,980円 / 小人(小学生):2,980円 ○ 夜間子ガメの放流会  改定前 → 大人(中学生以上):1,500円 / 小人(小学生):500円  改定後 → 大人(中学生以上):1,500円 / 小人(小学生):500円 / 島民(大人1人):500円 ○ Touch the Egg! ~ウミガメの卵を埋めてみよう~  改定前 → 1巣(卵40~個)あたり 3,000円  改定前 → 1巣(卵40~個)あたり 3,480円   より一層、学びが増えるプログラムにしていくよう精進してまいりますので、ご理解の程よろしくお願いいたします。 小笠原海洋センター スタッフ一同   [...]

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