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【けろにあぶろぐ #3】ウミガメの頭骨を眺める (2/2)

2022-03-12T19:00:45+09:00

こちらの記事は前回の【けろにあぶろぐ #2】ウミガメの頭骨を眺める (1/2) の続きです。 ウミガメの頭骨は非常にのっぺりとしています。 そこにはある理由がありました、、、。     ウミガメの頭骨には「穴」がありません。 この「穴」がないことこそが、「そのまんま感」の正体だと僕は考えます。 「穴」とは簡単に言うと、目の横に空いた穴のこと。正式には「側頭窓 (そくとうそう)」といいます。 従来、爬虫類を含む有羊膜類(ゆうようまくるい)はその側頭窓の数により、大きく3つの種類に分けることができます。 ※ 遺伝子解析が進んだ現在、この分類法はカメなどの例外がいることからあまり使われていません。     無弓類(むきゅうるい):両生類から進化し、側頭窓がありません。現在は絶滅したグループです。 単弓類(たんきゅうるい):側頭窓が1つある分類群。このグループが私たち哺乳類へと進化していきました。人では側頭窓が消失しています。 双弓類(そうきゅうるい):側頭窓を2つ持っています。恐竜や鳥類がこのグループに含まれ、実はウミガメを含むカメ類もこの双弓類に含まれます。   ではウミガメの頭骨を再度見てみましょう。   ( ゚д゚) ・・・  (つд⊂)ゴシゴシ  (;゚Д゚) …!?   やっぱり「側頭窓」がねぇぇぇぇ!!??   双弓類であるはずのウミガメの頭骨には、どこにも穴が見当たりません。 それもそのはず。長い進化のなかで、カメ類はその側頭窓を失いました この紛らわしい特徴のおかげで、長年生物学者たちは、カメを古代に繫栄した「無弓類」の生き残り、と分類していました。 しかし現在は、体の形態の総合的な比較やミトコンドリアDNAの系統関係を論じた研究などからカメ類は 「二次的に側頭窓を失った双弓類」とされています。   おねむなアオウミガメのコータくん。あなたも側頭窓がなくて? なぜ側頭窓が二次的に閉じたのか。 実のところ、まだよくわかっていないようで、咀嚼筋(そしゃくきん)をしまう必要がなくなったなど諸説あります。 いずれにせよ、ウミガメを含むカメ類は「側頭窓」を進化の途中で失い、他の爬虫類と比べて非常にシンプルな頭骨を手に入れたと言えるでしょう。   僕が、そしてあの時のお客様が「ウミガメの頭骨はのっぺりしているな」と感じたのは、こうしたカメ類の特異的な進化背景があったからではないでしょうか?   甲羅があったり、頭骨が爬虫類としては異質だったり。カメって身近な生物なようで、どこか変わった生き物なんですね。   それでは!

【けろにあぶろぐ #3】ウミガメの頭骨を眺める (2/2)2022-03-12T19:00:45+09:00

【けろにあぶろぐ #2】ウミガメの頭骨を眺める (1/2)

2022-01-17T17:53:47+09:00

ある日のウミガメ教室での一場面。 「これがアオウミガメの頭骨です!」 「へぇー。なんかのっぺりしてますねー。」 初めてウミガメの頭骨をご覧になったお客様は、比較的のっぺりとしたその風貌に驚かれたご様子。 生きている姿とはかけ離れた「頭蓋骨感」のある頭骨を想像していたようです。   この記事を読んでいるみなさまはウミガメの頭骨をご覧になったことはありますか??? 小笠原海洋センターに展示されているアオウミガメの頭骨コレクションs。 今でも鮮明に覚えていますが、私も初めて見た時は、 「そのまんまやん Σ(- -ノ)ノ エェ!?」と思いました。   ちなみにこちらはハシナガイルカの骨格。 どうも。ハシナガイルカです。 かわいらしい生前の姿とは趣を異にする、どこかプレデター感の漂うこのお顔立ち、、、。 (イルカの頭骨についてはまたブログを書こうかなと考えております。)   動物の頭骨ってどこかミステリアスですよね。人間でもイルカでも、無骨にあいた眼孔を覗くと、生きていた時の姿を想像して複雑な気持ちになります。 しかしウミガメはなんというか、、、。 見たままそのまんまなんですよ、、、。 どうも。アオウミガメです。 哺乳類のように体毛もなければ、軟骨でできた耳が生えているわけでもありません。 生きているときにはここに、筋肉、皮、鱗がつくのみです。 かといって他の爬虫類、例えばトカゲ(コモドオオトカゲ)やヘビの頭骨と見比べてみても、頭の形をしており、結構そのまんまです。 生前の姿との見た目のギャップが少ない分、のっぺりとした印象を抱くのでしょうか?   一応爬虫類であるウミガメですが、実は他と比べて非常に 特異な形状をした頭骨 を持っています。 そしてこの特異性こそが、見た目がなんとなく「そのまんまだな」と、印象を受ける理由なのかと私は考えます。   次回のけろにあぶろぐではこのウミガメの頭骨の特異性について掘り下げ、 「のっぺり・そのまんま感」の正体を突き詰めたいと思います!   次回もお楽しみに!

【けろにあぶろぐ #2】ウミガメの頭骨を眺める (1/2)2022-01-17T17:53:47+09:00

【けろにあぶろぐ #1】ウミガメの進化を垣間見る

2021-12-15T17:36:50+09:00

みなさんこんにちは! こちらのブログ【けろにあぶろぐ】では、 海洋センタースタッフの目線から、ウミガメ(たまにクジラも?)について気づいたことなどを書き、 みなさまとシェアできればなと思います。 第一回目のタイトルはずばり、、、 「ウミガメの進化を垣間見る」 毎日ウミガメを見ていると彼らのどんな些細なことでも疑問がわいてきます。 本日は水槽掃除中に思い浮かんだ、ウミガメの進化に関するプチ「どうして?」をテーマに進めていきたいと思います。 こちらは水槽掃除中のウミガメたち📸 海洋センターの最年長、アカウミガメの「なっちゃん」も   タイマイの「キイロ」も 水槽掃除の時はなすすべもなく少し首を引っ込めて丸まっていることが多いです。 周りからは「かわいい~」「首が引っ込んでる~」といった声が聞こえてきます。 首が引っ込むイメージがないウミガメのこうした一面は、私たちの目に愛らしく映るのかもしれませんね。ギャップ萌えというやつでしょうか。 しかし、僕はふとおもいました。 なんでウミガメの首って完全に引っ込まないのっ!!?? そこに進化的な背景があるのは確かですが、なぜ固い甲羅の中という防御を捨ててまでこうした体になったのか。 気になって仕方がないので、少し調べてみることにしました。   ◆ 初期のウミガメ類・カメ類とは? 調べてわかったことは、どうも初期のウミガメ類も首を甲羅の中にしまっている様子がありません。 白亜紀の海を泳いでいた史上最大のカメ「アルケロン」や、同じ時代に生きた「デスマトケリス」の頭骨はその体と比較して大きく、 骨格も現生のウミガメ類に酷似しています。 このことは彼らが今のウミガメ類と同じような体・形態を持っていたといえるのではないでしょうか。 非常に興味深い点として、2億1000万年前の地層から発見された最古のカメの仲間の一種(ウミガメではなく全体的なカメ類の一種)、「プロガノケリス」の頭が引っ込まなかったということ。 代わりにこのカメの首周りにはギザギザした甲板が発達し、弱点を守る働きをしていたそうです(平山, 2007)。 この「プロガノケリス」よりも1千万年古い時代に生息していたとされる「オドントケリス」もこの平べったい体を見る限り、 甲羅の中に頭が入るスペースはなさそうです。   ◆ なぜウミガメは首を甲羅の中に隠さないのか? となると昔のカメは首が引っこまずに、後になって子孫のカメ類がその能力を獲得したということでしょうか? Joyce (2015)や平山(1998)はカメが首を引っ込めることが可能になったのは現生カメ類の2大グループ、 「潜頸亜目(ミシシッピアカミミガメやスッポンなど)」そして「曲頸亜目(ヨコクビガメなど)」が出現してからだとしています(曲頸亜目は首を横に曲げることによって首を保護する)。 実は、現生のウミガメは全て「潜頸亜目」に属しており、縁日で有名なアカミミガメも滋養強壮に効果があるとされるスッポンも、大きなくくりで言えばウミガメと同じ仲間ということです。 カメ全体で言えば首の前後は後天的なもので、この2つのグループに分かれてから首が引っ込む能力を獲得した(曲頸亜目では首を曲げる)、というのが現在の説だそう。 ウミガメは生活の場を海へとシフトしたため、首を甲羅に隠す必要がなかったのでしょうか。 たしかに推進力を得るためのヒレと頭部を両方引っ込めていては、甲羅の中に多大なスペースを作らなければなりません。 そうなると流線型の体から遠のいて、水の抵抗が増してしまいます。 いずれにしろ、彼らはこの形態のまま現代まで生き延びており、 「首が引っ込まない」となにか捕食者に対する防御力が下がったような言い方をされますが、 祖先的な形状を残して進化した ということではないでしょうか?   少しは縮むウミガメの首に、彼らの昔の姿を想像してしまいますね。   参考にした文献 Joyce, W. G. (2015). The origin of turtles: A paleontological perspective: ORIGIN OF TURTLES. Journal of Experimental Zoology Part B: Molecular and Developmental Evolution, 324(3), 181–193. https://doi.org/10.1002/jez.b.22609 亀崎直樹. (2012). ウミガメの自然誌: 産卵と回遊の生物学. 東京大学出版会. 平山廉. (2007). カメのきた道 甲羅に秘められた2億年の生命進化. NHK出版.          

【けろにあぶろぐ #1】ウミガメの進化を垣間見る2021-12-15T17:36:50+09:00

初めての離島生活@小笠原(木村莉子さん)

2021-12-07T11:55:53+09:00

みなさんお久しぶりです。 先日横浜事務所での実習の様子をブログに綴った 大学生実習生の木村莉子です。 (横浜事務所での実習の様子はこちら → https://www.elna.or.jp/20211008/) 父島での実習が始まり早くも1週間が経ちました。 人生初の島暮らしとなった今回の父島生活ですが... 同じ国の中なのに、ましてや同じ東京都に属しているのに、 カルチャーショックの連続です!! この記事では「実習生の父島ライフ」に焦点を当て、 私が島に来て驚いたことや面白いと感じたことをシェアしていきたいと思います。 父島ライフはおがさわら丸、通称おがまるの乗船とともに始まります。 たかが移動手段!なんて考えている方もいらっしゃるでしょうが、 島で出かけた先で「あの時のおがまるに乗ってた子だ!」と声をかけてもらえることもあるんですよ。 乗船のその瞬間から島生活は始まっています。 そんなおがさわら丸の運行と切っても切り離せないのが村での買い出しです。 たくさんの物資を積んだおがまるが到着した日にはこんなに賑わっているスーパーも...   数日経つとこの通り。 おがまる入港日に1週間分の買い出しをしておくのが島で生き抜くコツなのかもしれません。 入港中にしか営業していないお店や、逆に出港中にしか開いていないカフェもあり、 島においては曜日よりもおがまるの入港・出港スケジュールが暮らしの指標になっていることがうかがえます。 実際に、島で使われるカレンダーには、このように「入港」「出港」と大きく記載があります。 カレンダーという日常の道具から島の人の暮らしが垣間見えるのはとても興味深いです。 暮らしのあちこちで父島の豊かな自然が活用されているのも、 島に来て驚いたことの一つです。 海洋センターの業務の一部としてウミガメが産卵した場所を掘り返す作業があるのですが、 その時に使用する道具がこちら。   熱帯地方に広く分布するモモタマナの枯れ葉です。 業務中はこの枯れ葉が筆記用具代わりになります。 産卵場所の識別番号を枯れ葉に書き、 その辺に落ちている枝に突き刺すことで掘る位置を示すのです。 自然物を拝借し活用したのち、作業を終えるとまた自然に戻す。 人と自然のバランスがとれた父島だからこそ成り立つ暮らし方でもあります。 そんなモモタマナですが、実は食用ナッツとしても親しまれています。 こちらは島のカフェで開催されたファーマーズマーケットの様子です。 売られているクッキーに注目すると、 モモタマナの実がトッピングされたものがあります。 枯れ葉をノートとして使うだけに留まらず、 モモタマナの実は島民の方々の休日を彩っているのですね。 このほかにも、台風が来た際には砂浜に落ちているサンゴを拾ってきて重石にしたり、 (青いネットの下にぶら下がっているのがサンゴです) おがまる出港のお見送りの際には島の植物を使ったレイを作って渡したりと、 内地の生活とはかけ離れているけれども豊かな暮らしが父島には存在します。 壮大な自然を見て、嗅いで、時に活用することを通して、 都会の便利な暮らしからは決して得ることのできない満足感で心がいっぱいになります。   以上が父島ライフの紹介になります。 といっても、この記事で取りあげた内容は島生活のほんの一部に過ぎません。 来島してから早1週間、到着したてのころに感じていた感動が 薄れてきてしまうことに寂しさを感じることもありますが、 一人前の島民を目指し日々島文化との触れ合いに努めてまいります! 次回の記事もお楽しみに!

初めての離島生活@小笠原(木村莉子さん)2021-12-07T11:55:53+09:00
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