みなさまからのプレゼント

2023-11-22T20:17:29+09:00

みなさまこんにちは! 小笠原海洋センタースタッフの清水です。 9月に入ってから特に、AmazonWishListを通じてたくさんのご支援をいただきました! この場をお借りして、深く御礼申し上げます。本来であればお1人ずつお礼を申し上げたいところですが、匿名でご寄付いただくことも多いためまとめてご紹介させていただきます。 まずはこちら! たまたま同じポーズになった子ガメがとっても可愛い写真ですが、注目していただきたいのはクッキングスケール、つまり重さを測る「はかり」です。 購入履歴を見る限り5年ほど使用したであろう右のはかりは錆が多く、途中でスイッチが切れたり重さがブレたりすることもしばしばありました。同じ商品とは思えないほどピカピカ、鏡のように光り輝くはかりが海洋センターに届きました。 このはかりはカメたちのゴハンの重さを測ったり、写真のように子ガメの体重を測ったり、ときには研究用の重要な薬品を測ったり、なんにでも大活躍します!ご支援いただきありがとうございました。 こちらも海洋センターで毎日使う道具、「ノギス」です!なかなか聞きなれない単語かもしれませんが、カメの身長を測るのにはとっても便利な道具です。(もちろんカメ以外でも、工具としていろいろ使われています!) 海水のかかる環境で毎日使っているとどうしても錆びてしまうので真水で洗い潤滑油を差してメンテナンスもしているのですが、気が付くと動くはずの部分が錆びついて動かなくなることもあります。こちらのノギスは大事な目盛りが錆びで読めなくなってきてしまっていました。 新品のノギスはピカピカで動きもスムーズ。使うのが勿体ないくらいですが、大切に使用させていただきます! こちらは調査で使うアイテムたちです。 ウミガメが産卵した場所を計測するため、また、一度計測した場所を再度割り出すために使うメジャー。東京都心の約2倍の紫外線量とも言われる小笠原において人間的に必須アイテムの日焼け止め。調査中や作業中、気が付いたら増えている切り傷に対応するための防水絆創膏。 どれも人間にとっての必須アイテムで、直接ウミガメに使うものではありませんが、こうして活動をご支援していただけるのは非常に嬉しいです。ありがとうございます! 最後はこちら。 真新しいデッキブラシをたくさんご支援いただきました。 現在海洋センターで飼育しているウミガメは402頭。水槽の数が30個。これだけの数のウミガメと水槽を掃除していると、デッキブラシが壊れるペースもなかなかのハイペースです。みなさまにご支援いただけるおかげで、綺麗な水槽でウミガメを飼育することが出来ます。 実は水槽が汚いと、ウミガメは皮膚の病気になりやすいので、綺麗な水槽を維持するのは見た目の良さだけでなく健康にウミガメを飼育するためにも重要なんです。 ん?良く見ると左側のボランティアの手にはバナナチップスも! こうしたおやつのおかげで、ウミガメの飼育作業や調査、たくさんの業務を頑張ることができます! 完全にスタッフ向けのおやつもご支援いただけるとは・・・みなさまの懐の広さに支えられています。ありがとうございます! AmazonWishListからのご支援、いつも本当にありがとうございます。 ご支援、ご寄付をいただけるおかげで私たちは小笠原でウミガメ保全、調査研究の活動が出来ています。WishListからのご支援は温かいコメントが付いていることも多く、プレゼントのような気持ちでいつも受け取っています。 なお、AmazonWishListからのご支援も「寄附金控除」の対象となり、「寄附金受領書」の発行が出来ます。ご希望される場合はコメント欄にその旨、また必要な情報をご記入ください。 引き続き、みなさまからの温かいご支援をお願いいたします。もうすぐ始まるクジラシーズンに備えて、調査で必要なサンプル管などが追加されています。 ぜひご支援お願いいたします! リンクはコチラ→海洋センターのAmazonWishList  

みなさまからのプレゼント2023-11-22T20:17:29+09:00

びいなすちゃんはいまどこへ?

2023-01-29T17:44:26+09:00

みなさんこんにちは! 小笠原海洋センタースタッフのしみずです。 すっかり時間が経ってしまいましたが、あけましておめでとうございます! 昨年はたくさんのあたたかいご支援をいただき、無時に調査・研究活動を継続することが出来ました。厚く御礼申し上げます。 本年も引き続き、ウミガメ保全活動・ザトウクジラ調査などの活動を継続してまいります。もちろんブログやSNSでの発信も頑張りますので、どうぞよろしくお願いいたします! 2022年は新型コロナウイルスが小笠原でも流行し、なかなか思うように調査に行けなかったり、お客様の数が少なかったりと、海洋センターにとっては少し大変な1年でした。一方で、SNSでは過去最大の反響をいただいたり、新商品が好評だったり(コチラが大好評でした)と、嬉しい出来事もたくさんありました。 最近の出来事といえば、やはり『びいなすネイチャープロジェクト』のびいなすちゃんを放流したことでしょうか。このプロジェクトは、ぱしふぃっくびいなすという客船と共同で行っていたプロジェクトで、いつかびいなすちゃんを放流して生態解明するという目的でこれまで実施してきました。 びいなすちゃんは私が就職したときにはすでに飼育していたので、毎日水槽にいるのが当たり前でした。そんな子を放流するのは寂しさもありますが、ここまで大きく立派に成長したのだから海へ行ってもきっと大丈夫という自信を持って送り出すことが出来ました。それでもやはり、びいなすちゃんがいた水槽を見るたびに「大丈夫かな、元気かな」と心配してしまいます。これが親心でしょうか・・・ 水槽にいたころのびいなすちゃん 今回放流したびいなすちゃんには発信機を装着しています。 まだ分からないことが多いのウミガメの中でも、より分かっていないのが生まれてから数年の子どものカメたちの行動です。今回は4歳のびいなすちゃんに発信機を背負って海で生活してもらい、少しでも多くの情報を得られることを期待しています。 発信機による追跡の様子は、HP上で公開しています。24時間ごとの更新ですが、衛星を使用した追跡のために衛星通過のタイミングによっては更新されない日が続くこともあります。 現在までは順調に更新されています!(一度ニュージーランド付近まで行っていますが、さすがに考えられないので、発信機のエラーかと思います)びいなすちゃんは基本的に父島周辺をうろうろしているようです。 皆さまもぜひ一緒にびいなすちゃんの行く先を見守ってください!→びいなすちゃんの回遊経路マップ 今回装着した発信機は、手のひらに乗る小さなサイズ。甲羅の大きさが50㎝ほどのびいなすちゃんに装着するには「ちょうどいい」大きさでした。 装着の際にはちょっと特殊な接着剤を使います。完全に硬化するまでに時間がかかるもので、放流の前日に約3時間かけて装着を行いました。もう少し早く終わるかな?と思っており、硬化したころにはすっかり暗くなってしまいました(笑) 放流当日の朝、発信機は無事かな?と心配していましたが、水槽の中で発信機を背負ったままいつも通りに過ごしていたようでまずはひと安心。最後の朝ごはんを食べたあと、午前中のうちに船に乗り沖へと向かいます。船の上でも激しく暴れることはなく、落ち着いて過ごしていたびいなすちゃん。4年間海洋センターで過ごした余裕が感じられました。 びいなすちゃんに「いってらっしゃい、頑張ってね」と声を掛けると、いよいよ放流の瞬間がやって来ます。声を掛けて何気なくびいなすちゃんの頭に触れた時には、思わず涙が出そうでした。しかし、泣いている暇はなく、放流の瞬間を動画に収めるべく、船のはしごを海中に降ろし、足を掛け懸命に手を伸ばしてカメラをセット。年末の海に膝下まで浸かりながら、ぱしふぃっくびいなすにご乗船された皆さまにびいなすちゃんの雄姿を届けられるよう、必死に手を伸ばします。心配になって何度も録画ボタンが押されていることを確認してから海中にカメラを入れ、頼むからちゃんと映っていてくれ~~!と念じていました。 放流されたびいなすちゃんは突然の大海原に驚いたのか、最初の数秒はスタッフの手から離された体勢のまま固まっていました。ゆっくりと泳ぎ出し船から離れると、息継ぎの度に船の方向を確認するような動きを見せ、びいなすちゃんも名残惜しいと思ってくれたのかな?なんて幸せな思い込みをさせてくれました。 しばらく見守り、びいなすちゃんが完全に船から離れたことを確認したあと、私たちは港へ戻りました。 一生懸命に撮った動画は、先ほどのびいなすちゃんのページ内やYouTubeで公開しています。 ぜひご覧ください!→【びいなすネイチャープロジェクト】「びいなすちゃん放流!」

びいなすちゃんはいまどこへ?2023-01-29T17:44:26+09:00

新人スタッフ奮闘記(その⑨)

2022-10-03T15:27:37+09:00

みなさんこんにちは! 小笠原海洋センター新人スタッフのしみずです。 今年の夏、皆さまにとってはどんな夏でしたか? 私にとっては小笠原で迎える初めての夏。調査の合間や休日に海で泳ぎ、時にはイルカと一緒に泳ぐことも出来ました。今年の夏は海況が良くない日が多く、なかなか海には出られませんでしたが、それでもたくさんの魚たちと出会えた充実した夏でした。 夏が長い小笠原ですが、朝晩は冷え込み長袖が欠かせなくなってきました。小笠原では台風が相次いで接近していましたが、大きな被害が出ることもなく、カメたちも元気に過ごしています。 海洋センターの夏は、夜間パトロールに夜間放流会、大村海岸の卵の保護、産卵調査にふ化後調査、稚ガメ(赤ちゃんガメ)の入槽、そしてたくさんのお客様、と盛りだくさんでした。戸惑うことや上手く出来なかったこと、失敗もありました。1年目の反省として、めげずに来年もまた頑張りたいと思います! 今回のブログでは、そんな1年目の夏に撮影した写真たちをたくさんお見せしたいと思います。可愛い赤ちゃんガメの写真も、実はSNSに載せきれないくらいあるんです。それではひとことコメントとともにお楽しみください! ふ化場での1枚。その日の夜には脱出(地上に出てくること)をしそうなカメたちが見えていました。   地上に脱出してきた赤ちゃんガメたち。ふ化場ではそれぞれの巣ごとに管理するためネットで囲っています。 朝出勤するとネットの中にたくさんの赤ちゃんガメがいる光景は、何度見ても嬉しい気持ちになります。   脱出直後の赤ちゃんガメ。手のひらにすっぽり収まるくらいの小ささです。     太陽の光に照らされる赤ちゃんガメ。可愛さ5割増しです。       ウミガメですから当たり前なのですが、初めて水に入ったその瞬間から上手に泳ぎます。 カメラを見下ろして、ちょっと警戒しているような表情がお気に入りの一枚です。 1歳の子ガメとご対面。気にせずパタパタし続ける赤ちゃんガメと、ちょっと近付いてきては離れることを繰り返した1歳の子ガメ。なんだか不思議な関係性があるようです。 昨年に引き続き父島に来てくれた「探巣犬」のケンちゃん。 スタッフ、ボランティア、島民、みんなに愛されるアイドルです。 もちろん卵探しでは大活躍! 人間が見落としていた巣をいくつも見つけてくれました。 最近の子ガメも1枚。移動のための容器を準備している最中、少し待ってもらっていたのですが、、、 ちょっと不服そうな顔をしながら、大人しく待っていてくれました。   以上です! いかがでしたでしょうか。 カメたちの可愛さで皆さまの心が少しでも癒されていたらいいな、と思います。 それではまた次回!

新人スタッフ奮闘記(その⑨)2022-10-03T15:27:37+09:00

【けろにあぶろぐ #9】ウミガメの寿命①

2022-10-26T09:58:46+09:00

  PIPした稚ガメ。これから彼/彼女の長いカメ人生が始まる。   「ウミガメって何歳まで生きるんですか?」 このお仕事をしていると、1週間に1回は絶対聞かれるこの質問。 「実ははっきりとしてことはわかっていなくて、人間と同じくらいくらいですかねぇ、、、。万年とまではいかないですねぇ(笑)」 いつもこんな調子で答えるが、、、 ウミガメを仕事にする者としてこんな曖昧な答え方でいいのか! もう少し納得のいくような返答はできんのか! そう思いながら、このブログを執筆しております。 実際のところウミガメは何歳くらいまで生きるのか?私なりに調べてみたことをゆるっと書き記していくので、みなさま、どうかお付き合いください。 ※ このブログは小笠原海洋センターの一職員が趣味の延長線上で執筆しております。文献などを参考にし書いてはいますが、絶対正しいとは限らないのでご了承ください。     【そもそもウミガメは何歳で "オトナ" になるのか?】 海洋センターで飼育されているウミガメは全部で3種類。 アオウミガメのコータくん(左上) 2002年生まれで今年20歳。 アカウミガメのなっちゃん(右上) 1989年生まれの33歳。海洋センターで一番年上のウミガメです。 タイマイのアズキ(左下)とキイロ(右下) どちらも1999年生まれで今年23歳。 20歳や30歳というと、人間ではバリバリ働き盛りの年齢。生活も安定し、個人差はあれど家庭を持ち子孫を残していくのも20~30代なのではないでしょうか? しかし、ウミガメ界で彼らはまだまだ若い方。「コドモ」ではないにしろ、「青年」くらいの年齢。 私が調べた範囲でウミガメの成熟年齢(オトナになり子孫を残すこと可能になる年齢)を下に記します。 ※ 以下「オトナ」を性成熟に達したカメとします。 種類 成熟年齢 アオウミガメ 北西大西洋:18~50年 カリブ海:15~33年 ケニア:28.8年 オーストラリア:40年以上 ハワイ:30~50年 小笠原:30~50年 アカウミガメ 北西大西洋:10~39年 南大西洋:32年 地中海:14.9~29.3年 ブラジル南部:32年 タイマイ ハワイ:14~20年 Wyneken et al. (2013)より改変 アオウミガメはオトナになるまで、数十年を要します。20年以下でも成熟したという報告もありますが、50年という長い月日がかかるのはこの種くらいでしょう。アカウミガメはアオウミガメよりも成熟が早そうです。50年はかからないにしても、30年くらいで成熟するものが一般的。タイマイの報告は1例しかなかったのですが、それでも20年以内と他の2種よりは早そうです。 こうして見るとアオウミガメ科のウミガメは、体が大きいほど性成熟が遅いような傾向が見られます。 ■ アオウミガメ(甲長:80~110cm)> アカウミガメ(甲長:70~100cm)> タイマイ(甲長:60~80cm) ■ アオウミガメ(15~50年)> アカウミガメ(10~39年)> タイマイ(14~20年) アオウミガメ科と書いたのは、オサガメの性成熟が異様に早いから。表には載せませんでしたが、性成熟達するまでだいたい15年くらいで、遅くても20年前後でオトナになるという報告があります (Wyneken et al., 2013)。   オサガメ。全長2mにもなるバカでかいやつ。現在も生きている。   この表を眺めてて思ったことは、アオウミガメの性成熟って他と比べて遅いんだな = オトナになるまでに時間がかかるということです。亜生体のアオウミガメは主に海藻や海草を食べているので (Guebert-Bartholo et al., 2011)、甲殻類を主食とするアカウミガメより、食べ物に栄養がないからでしょうか? いずれにせよ、小笠原産まれで現在20歳のコータくんはあと十年以上しないと性成熟に達しないようです。   反対に2022年現在、33歳のなっちゃんは年齢的に見れば成熟年齢に達していると言えそうです。   キャベツをもらう なっちゃん     とはいうものの、動物の成長度合いは個体差が大きく、餌の量や質、取り巻く環境、その他様々な要因が絡んできます。国が違えばそこにある食べ物も違ってきたりしますし、よく食べる個体がいればそうでない個体もいるわけです。 また、一般に飼育環境に置かれている動物は飽食気味になりやすく、成長も早いです。人間が餌をたくさんあげますからね。飼育下のアカウミガメやアオウミガメがものの6~7年で成熟した報告もあり(亀崎, 2012)、海洋センターにいるカメたちはとっくの昔に、みんなオトナになっているのかもしれません。   さて、種間の差はあれどウミガメはオトナになるまで相当時間がかかることがわかったかと思います。 「オトナになるのに数十年かかる」という、字面だけで長生きしそうなツワモノ感、、、。 そんな彼らの寿命は果たしてどのくらいなのでしょうか?   次回もお楽しみに!   参考文献 [...]

【けろにあぶろぐ #9】ウミガメの寿命①2022-10-26T09:58:46+09:00

【けろにあぶろぐ #8】カメは鳴くのか ①

2022-08-15T23:08:49+09:00

  小笠原海洋センターでは今年第一号の子ガメsがふ化しました! 画用紙くらいの厚さしかない小さな手足をバタバタさせる姿に、スタッフTSも心を打たれるばかりです。こんな小さいのに海岸をせっせと歩いて、大海原へと旅立っていくなんて、、、。 親の愛情を一身に受けてぬくぬくと育つ我々とまるで違う生き物なんだなと、改めて思う今日この頃です。 わさわさ出てきます。 目も顔に比べて非常に大きいです。 丸いお顔やお目め、体に不釣り合いなくらい大きな顔は、我々人類もウミガメも赤ちゃんの共通項なようです。     さて、そんなとっても小さな彼らですが、最近の研究では「どうやら鳴いている・発声しているらしい」ということが明らかになってきています。長らくウミガメを含むカメ類は「耳があまり聞こえず、あまり喋らない生き物」と考えられてきました。 カメやウミガメは哺乳類のような耳介(耳の出っ張り)を持たず、音に良く反応しているとは言い難いです。私たち小笠原海洋センターのスタッフも、夜間パトロールで産卵のため浜に来たお母さんウミガメをよく見ますが、あまり物音に気付きません。また、犬や猫のようにワンワン、ニャンニャン発声する様子もなく、こうしたカメの形態や生態が、彼らが「静かな生き物たち」と言われる所以だとか (Charrier et al., 2022)。特にカメ類は外部からの情報の大半を嗅覚及び視覚に頼っているとされ(Ferrara et al., 2019)、「音」に関するカメの研究が為されなかったのもうなずけます。 しかし、ここ10年ほどの研究によると、カメは従来考えられていたよりも「音」を出していることがわかってきました。陸生、水生合わせて少なくとも50種以上のカメが何らかの形で音を発し、敵対的な行動、交尾時などに多いそうです。ついには親子間での音のコミュニケーションまでが「音」で交わされているという報告も!(Ferrara et al., 2019) 2013年に発表された「カメ類における子ガメふ化後の親子間の鳴きかわしについて / Turtle Vocalizations as the First Evidence of Posthatching Parental Care in Chelonians」と大々的に題された論文では、南アメリカに棲息する「オオヨコクビガメ」のとても興味深い行動について研究がなされています。 なんでもこの実験では、オトナのメスのオオヨコクビガメがいる水槽に140匹の子ガメを放ち、双方の行動を観察。カメから発せられる音をレコーディングしたそうです。するとなんと、子ガメもオトナガメどちらも「音」を出し、オトナガメたちは子ガメに近づいていったではありませんか!   オオヨコクビガメのメスと子ガメたち。どうやらメスは子供たちの鳴き声に反応するらしい。   またオオヨコクビガメの子ガメを同種のオトナメスのオオヨコクビガメがいる水槽に入れたところ、子ガメたちは、メスのカメに近づき甲羅の上や、体にぴったりとくっついて休みだしたと書かれています。 また、自然界でオオヨコクビガメは子ガメがふ化するまで2か月ものあいだ、巣の近くの川でじっと過ごし、子ガメが出てくると一緒に泳いでえさ場まで旅をするそうです (Ferrara et al. 2013)。この時に、親子の間で「鳴きかわし」が行われていると予想されます。 彼らはこれを「カメ類で初めて発見された親子間の音声コミュニケーション」としています。   いかがでしょうか? ここに挙げたのは一つの研究だけですが、彼らにも少なからず社会性があることはとても興味深い事実です。 事実、「従来考えられていたより、カメは様々な音を発する」と様々な文献でまとめられております。 その音がコミュニケーションに使われているのか、それともただの音なのかはもう少し研究が必要なところ。 そして我らがウミガメはというと、「音によってふ化を同調させる」などの推測が為されていますが、先に挙げた水生や陸生のカメのようにあまり詳しくはわかっていません。 かといってウミガメが「音」を出さないのかというと、そう単純でもないようです。   さて次回の「カメは鳴くのか?」コラムでは「ウミガメの音」について焦点をしぼってゆるっとお話していきます。 次の投稿で書けるかわかりませんが、それではまた、楽しみにしていてください!   参考文献 Charrier, I., Jeantet, L., Maucourt, L., Régis, S., Lecerf, N., Benhalilou, A., & Chevallier, D. (2022). First evidence of underwater vocalizations in green sea turtles Chelonia mydas. Endangered Species Research, 48, 31–41. https://doi.org/10.3354/esr01185   Ferrara, C. R., Vogt, R. [...]

【けろにあぶろぐ #8】カメは鳴くのか ①2022-08-15T23:08:49+09:00
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